1994〜1996年 1997〜1999年 2000〜2002年 2003〜2005年
このページ 2009〜2011年 2012〜2014年
 
2006年
2007年
2008年

日本ケルト協会の歩み
その5  2006〜2008
講師のみなさんの肩書きなどは当時のものです。
       ◎ 『日本ケルト協会』に改称
2006
  定 例 会
4月9日 ケルト民族と映画
なぜアイルランド人は差別されるのか?
映画評論家 西村 雄一郎氏
 アメリカの差別のなかで、黒人、ユダヤ人差別の次に来るアイルランド人差別。その理由とそれがどのように映画で描かれているか。そして、アイルランド系の映画人たちが、どのようなアイデンティティをもって、どんな映画を作っているか検証する。
7月2日 二つの岸辺
詩を通じてのアイルラン
ドと日本
詩人 高橋 陸郎氏ーアイルランドと出会う
 私のアイルランド初訪は1980年代半ばのチェスタビーティー・ライブラリー取材だった。
 しかし、本当の出会いは1998年。関東学院大学葉山セミナールハウスの夏の詩の集まり。アイルランドの女流詩人、ヌーラ・ニー・ゴーノルのケルト語での朗読を聞いて圧倒された時だった。その翌日には同じ集まりに参加していた佐々木幹郎、とヌーラ同行のアイルランド詩研究者・大野光子さんとアイルランド朗読旅行の計画が持ち上がった。そして1999年、大野さん、アイルランド詩研究家の栩木伸明さん、英文学者川村和夫さん、佐々木幹郎さんとのアイルランド朗読バス旅行が始まった。そこで私を待ち受けていたのは土地の聖霊の贈り物ともいうべきポエジーの襲来で、毎日のように夜起き出しては数編を書いた。そして2000年、アイルランドでの作品を中心にした新詩集『柵のむこう』が誕生した。2002年、川村さんに代わって尺八・笛奏者、菊池雅志さんも同行し、アイルランド朗読旅行はつづいた。
 そして、今年2006年『柵のむこう』を中心にした私の作品の英訳が大野さん、アイルランドの若き詩人、フランク・シーウェルの共同作業で実現。ダブリンのディーダラス・プレス(『ユリシーズ』でお馴染みのディーダラス!)で出版された。これを記念してプログラム「対話する詩」も立ち上がり、4月26日から5月7日まで、大野さん、栩木さん、ミュンヘン在住の詩人、四元康裕さんと私の朗読旅行の運びとなった。
 今度の旅ではどんな新しい出会いがあるか。7月2日の朗読と話しにご期待を乞う!
              (4月13日、記から抜粋させていただきました。)
10月29日 うたわれるハイランド
詩人ソーリー・マクリーンの
    作品と生涯
中央大学教授  小菅 奎申氏
 ソ−リ−・マクリ−ン(Sorly MacLean)は,日本では、スコットランドの研究者の間でさえあまり知られていません。名前ぐらいは知っているという学者でも、彼の詩を読んでいる人はきわめて少数です。ところが、彼は20世紀スコットランドを代表する詩人、いやスコットランドの歴史の中で最も偉大な詩人の一人なのです。
 なぜ知られていないのでしょうか?それは彼がゲール語で詩作しているので、英訳はあっても”英文学研究者”はほとんど無視しているからであり、また私達自身ゲール語文化に対してきわめ希薄な関心しか寄せてこなかったからです。この講演で、この偏りを少しでも軌道修正できたら幸いであると思っています。
彼は1911年、スカイ島と本土の間にある小さな島、ラ−セイ(Raasay)に生まれ、軍役についていた数年を除いて、72年に引退するまでずっと中等学校の教員ないし校長として働きました。ほとんどの作品は、この仕事の傍ら作られたのです。しかし、詩人マクリ−ンの名声は、引退後、スカイ島で悠々自適の生活を送り始めてから年々高まるばかりで、友邦アイルランドの詩人たち(ゲール語で詩作するか否かにかかわりなく)の間でも、ほとんどカルト的な存在にまで達しました。彼の生涯にも目を向けながら、主要作品のいくつかを味わってみたいと思います。
11月27日〜
12月2日
サミュエル・ベケット
  生誕100周年記念

    パネル展&記念講演会
 今年はアイルランド出身の劇作家で、1969年にノーベル文化賞を受賞したサミュエル・ベケットの生誕100周年にあたりますそれを記念してのパネル展が世界各地を巡回しています。
 福岡では九州産業大学、駐日アイルランド大使館及び当会との共催で実施することになりました。パネル展とともに記念講演会も開催いたします。
来場者にはアイルランド大使館よりベケットのガイドブックが贈呈されます。
12月17日 ジュリアン・グラックと聖杯探求
戯曲「漁夫王」をめぐって
西南大学名誉教授 有田 忠郎氏
 ジュリアン・グラック(1910〜)は1948年『漁夫王』を発表いました。
グラック唯一の戯曲で、翌年4月から5月までモンパルナス劇場で上演されました。中世の「聖杯物語」に素材を得たものです。12世紀末フランスのクレチアン・ド・トロワの手になるこの未完の物語は、その後およそ半世紀にわたり複数の作家によって書き継がれました。しかし15世紀イギリスのマロリーによる再話などを除けば、主題の基本的な展開は文学史から姿を消しました。舞台に再び登場するのはワグナーの『パルジファル』の初演(1882年)をまたなければなりません。あれほど熱烈に探究されてきた聖なる器の行方が、光を失った触の状態にあったのです。たぶん魂の最も深い層に潜行し、それゆえに、さまざまな神秘物語に利用されてきたのでしょう。
 グラックの『漁夫王』は、登場人物の面ではクレチアン・ド・トロワとワグナーに依拠しています。しかし、「聖なるもの」については表象はまったく異なります。われこそは聖杯を発見する資格がある騎士という気負いで「漁夫王」の城に入って行く若きペルスヴァルがどんな思いがけない怖ろしい体験をして城から退出しなければならなかったか。グラックは、処女作『アルゴールの城にて』を「パルジファルの悪魔的書き換え」と呼びましたが、この形容はむしろ『漁夫王』にこそ相応しいと思われます。
この戯曲は、ただ一度上映されたきりでした。グラックの小説やエッセイはほとんどすべて邦訳されていますが、『漁夫王』は発表から半世紀たった今日も日本語訳はありません。いろいろな意味で謎を孕んだ作品と言えましょう。
  特 別 企 画
5月21日 黒澤明と筑紫路(佐賀平野)を巡る
  日帰りバスツアー
吉野ヶ里遺跡・・・・・・松川屋レストラン(黒澤組美術監督・村木与四郎氏のデザインによる)で昼食・・・松川屋シアタールームで西村講師より「黒澤明と早坂文雄」のお話を聴きます・・・・・・・黒澤明記念館・・・・・・秘窯の里大川内山
10月22日 ペトログラフの里シリーズ(9)
  
日帰りバスツァー

宗像族の巨石文化を訪ねる

〜竹原古墳、王塚古墳、芦屋のシャーマン、宗像大社、宮地嶽古墳〜
《北部九州の古代を一変する芦屋母子シャーマンのミイラ》
 NPO法人日本巨石文化研究所理事長      武内 一忠 氏
沖ノ島を海上神殿としていた安曇海人族とその末裔とされる宗像海人族の居城・宗像大社。
ヤマトの豪族が活躍した宮地嶽神社古墳や竹原装飾古墳。また今回開帳される王塚古墳などの日本の歴史を書き起こす「記紀」の時代以前に、すでにグローバルに活躍した海洋民族の足跡を検証する。芦屋より発見された母子のシャーマンのミイラは紀元前1500年のもの。3500年前に北九州はすでに海洋豪族らのコロニーでもあったのか。その頃世界では、シュメール文明が衰退しアッカドからアッシリアへと戦乱の世が広がり、ヘブライ族はヨゼフを頼ってエジプトに---しかしイブリ族と蔑まれモーゼとともに出エジプトの歴史を綴っている。その日本にシュメール系の海洋民族がフェニキア航海民とともに来訪するのはそれから間もない頃である。
  輪 読 会
毎月
第一金曜日
Deirdre of the Sorrows
J.M.Synge
The Celts 会場
帝京大学助教授 木村俊幸氏
  アイリッシュダンス公開講座&自主練習会
2007年
1月14日〜
アイリッシュダンス
3ヶ月講座
 2ダンスと指導力に定評のある、 宮澤紅子さんを毎回、東京からお招きして、毎月一回のワークショップで学びます。
その後それに準じた自主練習会で、毎月一回復習していきます。初めての方も気軽に、ご参加ください。その日から踊れるカントリーダンス系の2ハンドダンスやシンプルなグループダンスも交えて音楽に親しみながら進めていきます

日本ケルト協会 事務局 Tel/Fax 092-574-0331
       http://www.celtic.or.jp  keiko-y@celtic.or.jp
       ダンス担当 浜口 090-2283-2559
  自主練習会  基礎ステップの復習を中心に自主的な練習会を毎月一回予定しています。
    会場/The Celts
  語 学 講 座
4月〜7月 スコットランド ゲール語
    (初心者対象)
 
9月〜12月 ゲ〜ル語 (中級)  
2007
  定 例 会
4月15日 アーサー王伝説の剣と聖杯の世界史
  ケルトとインド=ヨーロッパ語族の
          共通神話の視点からみる
多摩美術大学教授 鶴岡真弓 氏
 アーサー王伝説の剣と聖杯には、ユーラシア大陸の東西に文明を築いた、ケルトを西の雄とするとインド=ヨーロッパ語族の共通神話と技術が反映しています。今回はケルト伝説のアーサー王伝説と北欧神話のジークフリート伝説とを主に比較しながら、剣=金属=黄金を「生きもの」と見なしてきた人々の自然観・生命観を明らかにしたいと思います。超自然的な力を持つ剣=金属=黄金を生み出してきた魔術師 即ちマリーンなどの役割にも焦点を当て、インド=ヨーロッパ語族に共通する黄金と金属の神話の核心と精神文化についてお話しいたします。
 2007年4月下旬に10年ぶりの大著『黄金と生命』(講談社)刊行予定。今回のケルトセミナーのテーマはその本の先駆けたものになります。ご期待ください。
5月13日 ザ・チーフタンズの20世紀
  −あるいはアイルランド音楽と社会
翻訳家 茂木 健 氏
 1942年のクリスマス、四歳だったパディ・モローニが母にティン・ホイッスルを買ってもらった瞬間から、ザ・チーフタンズの歴史は刻まれはじめる。1959年の作曲家ジョーン・オ・リアダとの出会い、キョールトリ・クーランの結成と解散を経て、パディを中心に結成されたバンドがチーフタンズであり、以降、メンバーの交替はあっても、かれらは常にアイルランド音楽の最前線に立ち続けてきた。チーフタンズが出発した1960年代前半、アイルランド本国でさえ伝統音楽は都市住民を中心に蔑まれたており、鑑賞すべき作品としての伝統音楽の提示は、それだけでひとつの冒険だった。そのような時代から、『リバーダンス』や「イナバウアー」に至るまでの約半世紀の間には、いったいなにがあったのかパディ・モローニとチーフタンズの軌跡を再検証しながら、各時代のアイルランド音楽および社会を、実際の音源を通して概観してみようというのが今回の目論見です。
9月30日 心地よい熊本で
   祖国アイルランドを思う
崇城大学教授 Peter Flaherty氏
 今年は日本・アイルランド外交樹立50周年の記念すべき年です。Peter Flaherty氏はアイルランド・ゴールウェイ出身。日本には35年間滞在されています。教授が生まれ育った(昭和22年頃)のアイルランド事情、魂に刻まれているケルト文化、今のアイルランドの状況、外交樹立50周年までの日本とアイルランドの交流史、「国際化」という荒波がもたらこと、或いは日本人にとってのケルト文化の魅力などー長期の日本滞在で考えられていることを、日常の雑感なども交えなが語っていただきます。
10月13日 黄金と生命とケルトの自然観
      〜時間と錬金の人類史〜


◎4月のケルトセミナーに続く第2弾!
多摩美術大学教授 鶴岡真弓 氏
 
癒しに通じる自然観で知られる、ケルト・北欧の神話の「剣」(黄金)は、じつは「生き物=生命」だったという話から起こして、壮大な人類の黄金ロードをしめしながら、私達人類の「黄金」の生命=時間を錬金してきた「心・知・技」の過去・現在・未来を描き出す。
 講師の最新著書『黄金と生命』が講談社から発刊されたのを記念にお話いただきます。
 尚、翌日、14日は鶴岡先生の最新刊をThe Celts
(ザ・ケルツ)で著者と一緒に読み解く会を催します。詳細は下をご覧ください。
10月14日 特別講座
鶴岡先生と読む
『黄金と生命〜時間と錬金の人類史』
著者と一緒に読み解くこの機会にご参加お待ち致します。
少人数の会となりますので、どうぞお早めにお申し込みください。
12月9日 『島』のケルト紀行
アイルランド&イギリスを巡って
エッセイスト  武部好伸氏
  イ ベ ン ト
11月18日 豊の国(大分県)の
    ペトログラフ・ツアー

安心院米神山・宇佐神宮。真玉町猪群山ストーンサークル
NPO日本巨石文化研究所理事長武内 一忠氏 
岩刻文字研究家と訪ねる、豊の国(大分)日帰りバスツア−
宇佐神宮を中心とした”豊の国”と呼ばれる大分県の巨石群を訪ねます。


スケジュール
   9:00出発博多駅−別府−安心院−宇佐神宮−昼食12:30−真玉町
                  −飯牟礼神社−海岸列石遺跡−博多駅20:00着
  輪 読 会
毎月
第一金曜日
 6:00〜7:30pm
The Playboy of the Western World
By J.M.Synge(187〜1909)
講師 帝京大学助教授  日本ケルト協会会員 木村俊幸氏
 シング(J.M.Synge)はシェイクスピアの再来と謳われながら37歳という若さでこの世を去ったアイルランドの天才劇作家、詩人です。
今回の輪読会では、シングの名を不朽にした6篇の劇作品のうち、最高傑作の呼び声が高い『西の国のプレーボーイ』(The Playboy of the Western World)を読んでいきます。この作品は、1907年アビー座での初演の際、いくつかの表現や場面が道徳的に不適切であるという理由で、観劇していたナショナリストたちから猛烈なブーイングの嵐に見舞われ、上演はしばしば中断のやむなきに至りました。
こらがシングの名を一躍有名にした、いわゆる“The Playboy Riots”と呼ばれる、「騒動」ですが、この作品の主眼は、良俗に反するか否かといった偏狭な政治的党派性とは関わりなく、臆病で好色、ほら吹きで怠け者の主人公クリスティーを中心に、主人公の言動に翻弄される人々の喜怒哀楽を生き生きと描くことにありました。
劇の終幕では勇敢で真に男らしい男に脱皮してく主人公の姿が暗示されていますが、その姿にシングはどのようなメッセージを託そうとしたのでしょうか。この輪読会をつうじて参加者のみなさんとともに考えてみたいと思います。
  アイリッシュダンス公開講座&自主練習会
  アイリッシュダンス 3ヶ月講座  ダンスと指導力に定評のある、 宮澤紅子さんを毎回、東京からお招きして、毎月一回のワークショップで学びます。
その後それに準じた自主練習会で、毎月一回復習していきます。初めての方も気軽に、ご参加ください。その日から踊れるカントリーダンス系の2ハンドダンスやシンプルなグループダンスも交えて音楽に親しみながら進めていきます。


    日本ケルト協会 事務局 Tel/Fax 092-574-0331
           http://www.celtic.or.jp  keiko-y@celtic.or.jp
  語 学 講 座
4月〜7月 ゲール語(中級) 毎週第2土曜日 3ヶ月コース
翻訳家 平島直一郎氏
会場  NPOボランティア交流センター
   
9月〜12月
2008
  定 例 会 ケルトセミナー
4月13日 「異界の使者クーフリン
 ケルト神話の原点をさぐる
京都大学名誉教授 佐野哲郎 氏
 すべての民族が持っているといわれる神話には、必ず異界が現れます。それは、あるいは神の国であり、あるいは死者の世界であり、あるいは海の彼方の理想郷です。これらの異界の存在を認識することこそが、人間に、生きることの意味を教えてきたのです。アイルランド神話の最大の英雄と言われるクーフリンは、異界の父の子として生まれ、異界と行き来し、生涯、異界と縁が切れることがありませんでした。このいわば異界の使者としてのクーフリンが私の話の主人公となります。
 ウェールズの伝承から発展したとされるアーサー王物語に、「サー・ガウェインの緑の騎士」という物語があります。これを、同じ主題をもつ、クーフリンの物語と比べる事から始め、クーフリンの数多い冒険譚を紹介して、アイルランド神話の原点がどういうものであるかを、考えようと思います。
 さらに、強調したいことは、アイルランド神話と日本神話との間にある不思議な類似です。海を越えて常若の国へ行ったアシーンの物語と、浦島伝説とが似ていることは、よく知られていますが、ほかにも、地名の由来へのこだわりという重要な類似があります。それをお話しすることが、もう一つの柱です。
7月27日 Bardとしてのイェイツ
     -
イェイツ詩の多声的な声
神戸親和女子大学名誉教授  松田 誠思 氏
 詩人・劇作家W.B.イェイツ(1865-1939)の文学活動は、1880年代末に始まり、1939年に亡くなるまで半世紀に及んでいます。それは英国の支配下にあったアイルランドが、独立のための戦いと挫折を繰り返し、第一次大戦後に「アイルランド自由国」(1922)が成立したにもかかわらず、その国家形態と主権問題をめぐって国論が分裂して内乱が起こり、一応の決着が図られた後も、政治・社会運営において宗派・階級間の深刻な対立が続き、国家的にも文化的にもきわめて不安定かつ流動的な時代でした。
 イェイツの文化活動に、このようなアイルランド社会の動向が反映されているのはもちろんですが、彼の詩人としてのあり方には、近現代の多くの詩人たちとは異なるいくつかの特質が現れています。最も注目すべき点は、彼自身、近代ヨーロッパ世界の認識論や価値観を土台に生きてきたにもかかわらず、ある時期からその枠組みを作り直そうとしたことです。彼の心事をあえて一言で言えば、生についても死についても、古代人の経験と英知を学び、蘇らせるべきだということになるでしょうか。もう一つは、社会における詩人の公的役割と地位の重視です。
 古代・中世のアイルランドには、Bard(バード)と呼ばれる詩人・語り部がいました。部族の神話・伝説や、系譜・歴史を語り伝える高い素養を持ち、時に応じて詩を吟じ、人々を楽しませるきわめて重要な役割を担っていました。

イェイツは若い時からこのバードの伝説に自分を位置づけ、高貴な精神性と民衆的生のエネルギーに形を与えようとしました。彼の詩が時とともに多様な「声」を獲得し、みごとに響かせている例を、いくつかご紹介したいと思います
11月9日 「アイルランドにおける伝承の
    バラッドとリテラリー・バラッドの姿」

18世紀から20世紀にかけて
福岡大学 外国語講師  三木 菜緒美 氏
 
ジェームス・ジョイスの短編『ダブリン市民』の中から「死者たち」を映画化したジョン・ヒューストン監督の作品『ザ・デッド』には、ジョイスが聞き馴染んでいたというバラッドが美しく歌われる場面があります。バラッドというのは、中世以来ヨーロッパ各地でうたいつがれてきた作者未詳の物語歌です。一個人である詩人や語り部たちがつくり、歌ってきたものとは違い、民衆の中から生まれたものといってもよいでしょう。そのため個人が作ったものと区別して、この口承のものを「伝承バラッド」と呼んでいます。押韻やリフレインなどシンプルな形式を用い、戦いや恋愛、呪い、亡霊、妖精、変身などをテーマとし、イングランドやスコットランドでは15、16世紀頃に最盛期を迎え、シェイクスピアなどの劇作品にも影響を与えてきました。
 アイルランドにはアルスター地方を中心に17世紀初めに入植者たちとともに入ってきたといわれており、英語使用の広がり、そして文字としての定着を促した「ブロードサイド・バラッド」の広がりと平行して、アイルランドでもその人気は広まっていきました。その後、このバラットを好んで模倣し、自分の試作品に取り入れたいった詩人が生まれました。このような詩人が作ったバラッドを”Literary Ballad”(リテラリー・バラッド)「バラッド詩」といいます。
 18世紀であればスウィフトやゴールドスミスから、現代であればW.B.イェイツまで様々な詩人達がバラッドに親しみ、自らのバラッド観、社会観を表現していきました。

 
まずは、バラッドの中でもアイルランドで歌われたていた伝承バラッドをいくつか具体的に見て、聞いてみたいと思います。それから18世紀から20世紀にかけてどのようなバラッド詩が作られていったのか、その一部を紹介してみたいと思います。
12月23日 15周年を迎えるに当たって
日本ケルト協会の歩み
    15周年記念行事プロジェクト総会
 15周年記念プロジェクト総会〜日本ケルト協会の歩み ほか
企画案募集中!
  輪 読 会
毎月第1金曜日
18:00〜19:30

10月3日
ジェームズ・ジョイス 「ダブリン市民」 講師 帝京大学教授  日本ケルト協会会員 木村俊幸 氏
 アイルランド文学ジェームズ・ジョイスの有名な作品「ダブリン市民」を原書で読んでいきます。
 この輪読会では『ダブリン市民』のなかでも比較的読みやすい作品をいくつか取り上げ、原文で精読していきます。 
ジョイスに興味があり、その文学世界を知りたいと望んでいらっしゃるかとはこの機会をぜひお見逃しなく!
  アイリッシュダンス公開講座&自主練習会
9月〜12月
月1回
4回講座
アイリッシュダンス公開講座 
 リバーダンスの日本人ダンサー林 孝之さん
 をお迎えしてアイリッシュダンスの公開講座
アイリッシュ ダンサー・振り付師 林 孝之 氏(元リバーダンスメンバー)
 Riverdanceを観て何か感じた人が、今度はそれを体験してみてもらうことでより深く楽しんでもらえたら嬉しいです。(林さんのコメント)
 林さんはリバーダンスに感銘を受け、2001年に単身アイルランドに渡り、ストリートパフォーマンスをしながら、ダンススクールに通い、世界選手権などに出場。リムリック大学で本格的に伝統舞踏コースを修了し、リバーダンスのメンバーとして世界ツアーに参加されています。 「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれています。日本におけるアイリシュダンスの第一人者です。特にこの講座のために9月〜12月にかけて4回シリーズで来福をお願いいたしました。
毎月2回
日曜日
アイリッシュダンス自主練習会  今まで当会のアイリシュダンス講座で習ったステップを復習しています。
自主的な練習会なので気軽にご参加ください。
  語 学 講 座
毎月第2土曜日
14:00〜
ゲール語 (中級) 翻訳家 平島直一郎 氏
アイルランドの高校の教科書を読んでいきます。
会場  NPOボランティア交流センター
  2008年その他の催し
12月5日 ケルティック・クリスマス2008

ダーヴィッシュin福岡
      
Dervish福岡公演
 アイルランド北西部スライゴーで結成された7人組。アイルランドの風土を感じさせるキャシーのチャーミングなヴォーカルと複数の弦楽器で構成された立体的な力強い演奏は今やアイリッシュ音楽のトップクラスに位置しています。詩人W.B.イェイツゆかりの美しく幻想的な自然を擁するスライゴーを拠点に海外ツアーを行っているグループです。
福岡公演は筑前一之宮、住吉神社・能楽殿で催します。
 12月の公演に向かって実行委員会のメンバーを募集いたします。
  北アイルランド映画祭 in 福岡
4月6日 7月、ある4日間
Four Day in July
イギリス/1984年/99分

        10:15開場  10:30〜12:09
監督、脚本/マイク・リー
    音楽/レイチェル・ポートマン

   キャスト/ブレッド・ブレナン、デスモンド・マッカリア、ポーラ・ハミルトン、
       チャールズ・ローソン、B.J.ホッグ、シェーン・コナグトン、
       スティーブン・レイ


 初めての出産を控えているローレンの夫ビリーは地元ベルファーストの軍人で、ビリーの同僚の仲間達もまた「ビリー」の名を持つプロテスタント系住民。
一方カトリック地域に住み、同じく出産を控えているコレットの夫ユージーンは障害者手当の小切手の支給を待ちながら暮らしている。
 毎年7月12日に行われる、プロテスタント・オレンジ党員のマーチが迫るそんなある日、ビリーとローレンは、前夜祭のかがり火を見に出かける。一方、コレットとユージーンの家には、窓拭き屋のディクシーとトイレを修理に来たブレンダンが訪れ、ユージーンの怪我の本当の原因を知ることとなる。
 共存していながらも対立せざるをえないプロテスタントとカトリック系家族の日常を巧みに描いた知られざるマイク・リー監督の名作。
弾道の詩行
Lines of Fire
イギリス/2000年/41分

         15分前開場 13:00〜13:41
   監督/ブレンダン・J・バーン
出演詩人/シェーマス・ヒーニー、ポール・マンドゥン、
        トム・ポーリン、マイケル・ロングー
   キャスト/スティーブン・レイ、エイドリアン・ダンバー、イアン、マッケヒネイ、
        ブリッド・ブレナン、レイラー・ロディー、リチャード
ドーマー

 北アイルランドに深く根付く詩と文学の世界へのオマージュ。紛争の舞台となった北アイルランドに住む人々の思いや生活を、詩人達が紡ぎ出していく。
 北アイルランドの紛争は”The Troubles"と呼ばれる。直訳すれば、「困難」「悩み」や「不具合」などを意味する。時折、言葉そのものに翻弄される”The Troubles"が、ここでは言葉によって表現される。アーカイブ映像、現風景、詩人や俳優による朗読を交錯させ、シェーマス・ヒーニーやトム・ポーリンなどの著名な詩人や作家達の視線と言葉が突き刺さるドキュメンタリー。
デリー・ダイアリー
   〜ブラディ・サンデーのその後
Bloody Sunday-A Derry Diary
アイルランド、ドイツ、イギリス/2007年/85分

        15分前開場 14:00〜15:55
監督・製作/マーゴ・ハーキン
    撮影/バーディー・ティブン

    音楽/ジョン・オニール
    編集/ジム・デービス、デビット・グレー
 共同制作/カール・ルドビィッヒ・レツティンガー

 1972年1月30日、1500人のカトリック系住民が市民権を訴えた公民権運動のデモに対してイギリス軍が発砲。市民13人が殺害されてしまう。「血の日曜日(ブラディ・サンデー)」は北アイルランドに深い傷を残した。
 この時学生だったマーゴ・ハーキン監督はその事件に遭遇した。そこに居た人々にとっては何が起こったのかは明らかであるが、イギリス軍やIRAの兵士は「誰が最初に発砲したか」に終始する。
 1998年から始まった「ブラディ・サンデー調査委員会」は紆余曲折を重ねた。監督は元兵士らの生の声とも対面し、当時を背負って今を生きる人々の声を集め、その記憶の道を一緒にたどる。
 真実を求め続ける遺族らの表情を深く静かに描くドキュメンタリー。