二つの岸辺 詩を通じてのアイルランドと日本
詩人 高橋 陸郎氏ーアイルランドと出会う
私のアイルランド初訪は1980年代半ばのチェスタビーティー・ライブラリー取材だった。
しかし、本当の出会いは1998年。関東学院大学葉山セミナールハウスの夏の詩の集まり。アイルランドの女流詩人、ヌーラ・ニー・ゴーノルのケルト語での朗読を聞いて圧倒された時だった。その翌日には同じ集まりに参加していた佐々木幹郎、とヌーラ同行のアイルランド詩研究者・大野光子さんとアイルランド朗読旅行の計画が持ち上がった。そして1999年、大野さん、アイルランド詩研究家の栩木伸明さん、英文学者川村和夫さん、佐々木幹郎さんとのアイルランド朗読バス旅行が始まった。そこで私を待ち受けていたのは土地の聖霊の贈り物ともいうべきポエジーの襲来で、毎日のように夜起き出しては数編を書いた。そして2000年、アイルランドでの作品を中心にした新詩集『柵のむこう』が誕生した。2002年、川村さんに代わって尺八・笛奏者、菊池雅志さんも同行し、アイルランド朗読旅行はつづいた。
そして、今年2006年『柵のむこう』を中心にした私の作品の英訳が大野さん、アイルランドの若き詩人、フランク・シーウェルの共同作業で実現。ダブリンのディーダラス・プレス(『ユリシーズ』でお馴染みのディーダラス!)で出版された。これを記念してプログラム「対話する詩」も立ち上がり、4月26日から5月7日まで、大野さん、栩木さん、ミュンヘン在住の詩人、四元康裕さんと私の朗読旅行の運びとなった。
今度の旅ではどんな新しい出会いがあるか。7月2日の朗読と話しにご期待を乞う!
(4月13日、記から抜粋させていただきました。)