日本近代文学におけるアイルランド=雑誌が生み出した流行とその魅力=
今回のセミナーでは、大正期から昭和期にかけての文学青年たちの胸を熱くさせたアイルランド文学の魅力はどこにあったのか、その秘密に迫りたいと考えています。
日本文学とアイルランドの関係に着目してみると、明治時代の中頃からアイルランド文学が注目を集めた面白い現象が見られます。特に、大正期には、のちに作家として活躍する大学生時代の芥川龍之介や菊池寛、西條八十、日夏歌之介らが文学同人誌に次々に翻訳や紹介記事を掲載し、イェイツやアイルランド文学の特集号を企画するなどの「流行」が生まれます。芥川や日夏ら若い文学青年たちは、アイルランド文学を愛好する者として大学を越えて交流し、西條八十の家で開催された愛蘭土文学研究会で語り合い、自分たちの文学観をはぐくんでいきました。
さらに、イェイツやシングといったアイルランドの劇作家の影響を受けて執筆した菊池寛の戯曲が英語に翻訳されて、1925年に刊行されます。そのときロンドンのいくつかの新聞で「日本の天才と新しい戯曲」の誕生(オブザーバー紙)などと賞賛されました。菊池寛の戯曲を読んだイェイツは「屋上の狂人」を評価し、翌年ダブリンのアベイ座で上演します。このようなアイルランドと日本の文学交流がなぜ起こったのかについても追跡したいと思っています。
講 師 | 金沢大学准教授 鈴木暁世氏 |
日 時 | 2015年6月28日(日) 14:00~16:00 (13:30会場) |
会 場 | 健康づくりサポートセンター 視聴覚室 (8F) (旧婦人会館) 福岡市中央区舞鶴2-5-1 ☎ 092-712-2662 |
参加費 | 一般1500円 会員 無料*当日会場で直接受付ます。 |
主 催 | 日本ケルト協会 |
後 援 | 福岡市、福岡教育委員会 、(公財)福岡市文化芸術振興財団 |