アイルランドと「イギリス」 –連合王国(United Kingdom)と帝国(Empire)のはざまで–

日本ケルト協会/ケルトセミナー

    アイルランドと「イギリス」
–連合王国(United Kingdom)と帝国(Empire)のはざまで–

大阪経済大学経済学部教授  山本 正氏

 かつて1800年から1922年まではアイルランドは全体としてイギリス国家(大ブリテンおよびアイルランド連合王国)の一部であった。しかし、1922年に北東部6県一現在の「北アイルランド」-を除く26県がアイルランド自由国として独立し、現在はアイルランド共和国となっている。では、なぜアイルランド(の大半)だけは他の地域(スコットランドやウェールズ)と異なり独立したのであろうか。
ひとつには、「連合王国」(United Kingdom)のなかで唯一人口の圧倒的多数をカトリックが占めていたことが挙げられる。16世紀にイングランド(とウェールズ)では上からの宗教改革が、スコットランドでは下からの宗教改革が成功し、プロテスタント化したのに対して、アイルランドではイングランド型の宗教改革が挫折するとともに、大陸からの対抗宗教改革勢力が浸透したからであった。
もうひとつには、アイルランドは「イギリス帝国」(British Empire)の植民地としての性格が強かったことが挙げられる。アイルランドは中世盛期(12世紀)から近世(17世紀)に至るまで数次にわたってイングランドあるいはブリテン島からの征服・植民の対象となってきた。そしてまた、近世(17世紀)以降はイギリス国家に対する従属性を強めていっ
たのである。
本講演では、このようにブリテン諸島の一角を占め、一時は連合王国を構成しながら、他方でイギリス帝国の植民地に分類すべき存在でもあったという、アイルランドの「イギリス」に対する特異な歴史的関係を浮き彫りにしたい。

【プロフィール】山本正(やまもとただし)
1958年京都府京都市生まれ。 1981 年大阪大学文学部卒業。1986年大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。
その後、大阪経済大学教養部専任講師、同助教授、大阪経済大学人間科学部助教授、同教授を経て、2009年より大阪経済大
学経済学部教授。日本アイルランド協会副会長。主要著作:『「王国」と「植民地」一近世イギリス帝国のなかのアイルランド』(思
文閣出版、2002年)、『図説アイルランドの歴史』(河出書房新社【ふくろうの本】、2017年)『コモンウェルスとは何かーポスト帝国
時代のソフトパワー』【細川道久との共編】(ミネルヴァ書房・2014年)

講 師   大阪経済大学経済学部教授 山本 正氏
日 時 2018年4月22日(日) 14:00~16:00  (13:30開場)     
会 場  健康づくりサポートセンター 視聴覚室  (あいれふ8F)
福岡市中央区舞鶴2-5-1   ☎ 092-751-2827
 参加費   一般1500円  会員 無料 *当日会場で直接受付ます。
主 催 日本ケルト協会     http://www.celtic.or.jp keiko-y@celtlic.o
後 援 福岡市 、(公財)福岡市文化芸術振興財団

日本ケルト協会
福岡市、(公財)福岡市文化芸術振興財団
日本ケルト協会事務局 福岡市博多区麦野1-28-44 Tel/Fax092-5了4-0331
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