ケルトセミナー2022.4.24

『赤毛のアン』に見るケルト

『赤毛のアン』に見るケルト

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド 山下直子 氏

幼いころから海の向こうの世界に関心を持ち、物語を通して異国の文化に憧れて育ちました。いちばん夢中になったのはL.M.モンゴメリ作『赤毛のアン』とそれに続くシリーズです。大人になってもそれは続き、今や40年にわたる人生最長のライフワークとして、私の暮らしの中に存在しています。

アンの物語はカナダの東海岸に浮かぶ小さな島、プリンス・エドワード島が舞台です。16歳の時に、その島の少女ワニータとペンフレンドになりました。2000年に縁あって私がアイルランドに移住することになったのですが、その時にワニータの5代前の先祖がアイルランドのウェックスフォード県から、プリンス・エドワード島に移住してきたことを知りました。

ブラーニー城(アイルランド南部コーク県):城の上部にある石にキスをすると雄弁になれるとの伝説あり。モンゴメリはこの石のかけらを熱烈に欲しがり、スコットランド人の文通相手にお願いして送ってもらっています。
ブラーニー城(アイルランド南部コーク県):城の上部にある石にキスをすると雄弁になれるとの伝説あり。モンゴメリはこの石のかけらを熱烈に欲しがり、スコットランド人の文通相手にお願いして送ってもらっています。
幻想的な色を放つアイルランドの春の夕暮れ:モンゴメリ作品には昼(こちらの世界)と夜(あちらの世界)の境目である夕暮れの風景描写が非常に多く、印象的です
幻想的な色を放つアイルランドの春の夕暮れ:モンゴメリ作品には昼(こちらの世界)と夜(あちらの世界)の境目である夕暮れの風景描写が非常に多く、印象的です

それからです、私が「アイルランド」というキーワードでモンゴメリ作品を再読するようになったのは。そこには驚くばかりのアイリッシュ・コネクションが隠されていました。作者モンゴメリは、物語の主人公の空想やセリフを借りて、自然の木や風に魂を与え続けました。散文的な現実の中で、ふとした瞬間に吹く風が薄いヴェールをめくって垣間見せてくれるあちらの世界―。

アイルランドを知った今、モンゴメリ作品には極めてケルト的、古代アイルランド的な幽玄美があふれていることに気づかされます。“島”違いでたどり着いたエメラルドの島が、子どもの頃からの想いや憧れのルーツであったことに不思議な縁と導きを感じます。そんな『赤毛のアン』から読み解くアイルランドやケルトについて、皆さんとご一緒に考察させていただけることを楽しみにいたしております。

プロフィール】 山下直子(やました なおこ) 長野県上田市出身。早稲田大学第一文学部卒業。(株)ユーラシア旅行者添乗員として世界60数か国をまわり、2000年よりアイルランド在住。アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドとして グループツアーから個人旅行まで、全土を案内するほか、TV・雑誌のコーディネート業も行う。趣味はサーフィン、バラ栽培、子どもの頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

●日  時   4 24日(日)14:00~16:00 (開場13:30〜) 

●会 場   あいれふ 講堂(10F)福岡市中央区舞鶴2-5-1 ☎(092)751-2827

●参加費   一般 1,500 会員 無料 ※当日 会場で直接受付けます。

●主 催   日本ケルト協会  

●後 援    福岡市、(公財)福岡市文化芸術振興財団

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