The Playboy of the Western World By J.M.Synge(187~1909)

The Playboy of the Western World
By J.M.Synge(187~1909)

講師 帝京大学助教授  日本ケルト協会会員 木村俊幸氏

シング(J.M.Synge)はシェイクスピアの再来と謳われながら37歳という若さでこの世を去ったアイルランドの天才劇作家、詩人です。
今回の輪読会では、シングの名を不朽にした6篇の劇作品のうち、最高傑作の呼び声が高い『西の国のプレーボーイ』(The Playboy of the Western World)を読んでいきます。この作品は、1907年アビー座での初演の際、いくつかの表現や場面が道徳的に不適切であるという理由で、観劇していたナショナリストたちから猛烈なブーイングの嵐に見舞われ、上演はしばしば中断のやむなきに至りました。
こらがシングの名を一躍有名にした、いわゆる“The Playboy Riots”と呼ばれる、「騒動」ですが、この作品の主眼は、良俗に反するか否かといった偏狭な政治的党派性とは関わりなく、臆病で好色、ほら吹きで怠け者の主人公クリスティーを中心に、主人公の言動に翻弄される人々の喜怒哀楽を生き生きと描くことにありました。
劇の終幕では勇敢で真に男らしい男に脱皮してく主人公の姿が暗示されていますが、その姿にシングはどのようなメッセージを託そうとしたのでしょうか。この輪読会をつうじて参加者のみなさんとともに考えてみたいと思います。