西北九州の縄文遺跡を訪ねる ~洞穴遺跡と土器の起源を求めて~

日本ケルト協会縄文街道シリーズN0.7 

西北九州の縄文遺跡を訪ねる~洞穴遺跡と土器の起源を求めて~

●同行講師 元福岡市教育委員会文化財部長 山崎純男

 九州北西部に位置する北松浦半島では、旧石器時代から縄文時代にかけての洞窟遺跡が数多く発見されています。中でも長崎県佐世保市の「福井洞窟」や「泉福寺洞窟」は、国の史跡になっている重要な遺跡です。
その発見は大きな話題となりました。これらの洞窟には旧石器時代から人々が住み始め、縄文時代にも住んでいたようです。1960(昭和35)年、発掘調査された福井洞窟では、旧石器時代の終わり頃の細石器とともに第Ⅲ層から隆起線文土器、第II層から爪形文土器が出土、放射性炭素の測定年代は、第Ⅲ層が12700±500年という驚くべき結果が出ています。その後、発掘調査された泉福寺洞窟からは爪形文土器、隆起線文土器のさらに下の層から豆粒文土器が出土し、土器の起源はさらに遡りました。現在はこれらの土器より古い無文土器が発見されていますが、福井・泉福寺洞窟出土の土器が日本列島の最古級の土器には変わりありません。土器の起源は自生なのか?大陸から伝播したのか?謎は深まります。このほか、踏査地には石器の材料となった黒曜石の原産地や弥生時代初期の支石菖や列島最西端の前方後円墳もあります。
興味深い歴史の一コマにふれてみましょう。
《スケジュール》

7月30日
(土)
  博多駅筑紫ロ発9:30→ 腰岳(伊万里)経由→ 福井洞穴→ 姫神社遺跡→ 小嶋遺跡→ 平戸城(昼食)→ 里田原遺跡・資料館→ つぐめの鼻遺跡→ 下本山岩陰遺跡→  泉福寺洞穴→ 佐世保市博物館→ 展海峰(九十九島展望台)→ 19:00 佐世保市内 泊
  7月31日
(日)
  宿舎発9:00→出津遺跡、出津教会(世界遺産候補)→ 長崎(昼食)→ 深堀遺跡・資料館→ 脇岬貝塚→ 大ウナギ見学→ 丸山遺跡・支石墓→ 博多駅着18:30