アスコットランドとウイスキー ケルト文化から独立運動そして「マッサン」まで。

アスコットランドとウイスキー ケルト文化から独立運動そして「マッサン」まで。

英国からの独立の是非を問う国民投票が昨年秋に行われ、NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」で注目されているスコットランド。
スッコッチ・ウイスキー、ゴルフの発祥地、タータンチェック、バグパイプ、怪獣ネッシ-・・・・。かの地に思いを馳せると、いろんなアイコンがイメージされますが、その素顔はあまり知られていません。
スコットランドは、お隣のアイルランドと同様、「ケルトの国」と呼ばれています。そのいわれを歴史と文化の面からわかりやすく解説します。とりわけ先住民のピクト人、ブリトン人、アイルランドから渡って来たスコット人らケルト系民族が立していた「暗黒時代」に焦点を当て、いかにスコットランドという国が築かれていったのか、そのプロセスを浮き彫りにします。イングランドとの確執、今回の独立の動きにも深く関わっています。
さらに世界に冠たるスコッチ・ウイスキーの誕生から変遷、そして現状についてもお話します。「ケルトの酒」と自負するスコッチにまつわるさまざまなエピソードやこぼれ話、スコッチを目標に本格的なジャパニーズ・ウイスキーを生み出し、「マッサン」のモデルになった竹鶴政孝さん(ニッカウヰスキー創設者)の功績についても言及したい思っています。琥珀色の液体が放つ魅力とは・・・?
今回の講座は、大所高所から見据えた「スコットランド入門学」です。

講 師   第一部講演  武部 好伸氏   エッセイスト/関西大学社会学部非常勤講師
第二部試飲  山口 宏氏    アサヒビール(㈱ 九州総括本部営業企画部 担当部長
日 時 2015年3月8日(日) 15:00~17:00  14:45会場
第一部講演 15:00~16:30
第二部試飲 16:30~17:00
会 場  西鉄イン福岡13F BLOSSO
福岡市中央区天神1-16-1 西鉄イン福岡13F ☎ 092-712-5775
 参加費   2500円  定員65名   定員になり次第締め切らせていただきます場 。
主 催 日本ケルト協会
後 援 福岡市、(公財)福岡市文化芸術振興財団
 協 力  NPO法人 プロフェッショナル・バーテンダーズ機構 九州エリア
 協 力・協賛  アサヒビール株式会

定例会 多摩美術大学 教授/芸術人類学研究所 所長 鶴岡 真弓氏

定例会

多摩美術大学 教授/芸術人類学研究所 所長 鶴岡 真弓氏

ユーロ=アジア世界とケルト【神話と象徴のデザイン力】■「日本/列島」は、大航海時代以来、インドやカタイ(中国)の彼方にある「極東の島国」として描き出され『魏志倭人伝』に記されたように東海の彼方の周縁とみなされた。しかし北半球で最大にして地球上最も多様な民族文化を培ってきた「ユーラシア」大陸を見渡せば、この極東の列島は「東の縁(ふち)」ではなく、「東の極み」を占める文明の「極」であることを発見させられる。■つまり日本/列島は、ユーラシア「世界」を東の極みから眺望するヴィスタを占め、その芸術文化は、およそ一万年前の縄文文化から、「開かれたユーロ=アジア性」を、芸術や宗教儀礼に表し営みをつづけてきた。 ■たとえばアイヌの人々の衣「アトゥシ」は、シベリア沿海州のナナイ族の人々の花嫁衣装にいまも生きる曲線文様を共有し、「フローラ(植物)界とファウナ(動物)界」を交流させた、北方ユーラシアに普遍的な「生命のしるし」のデザインとして、遠く西の極みの北方ヨーロッパ文明(たとえばケルト文明)の意匠にまで、通じている。■今回はこれまで個々別々に観察されてきたユーロ=アジア世界の民族・集団の芸術の間に動的に「分かち持たれた共有性」から見直してゆき、ヨーロッパの基層ケルトがいかに「ユーロ=アジア世界」とネットワークをもち「神話と造形のデザイン力」を培ってきたか、そのダイナミズムについてお話いただきました。

ケルト文化とユーロ=アジア世界 ~動物・植物・鉱物の神話と芸術~

ケルト文化とユーロ=アジア世界
~動物・植物・鉱物の神話と芸術~

 ユーロ=アジア世界とケルト【神話と象徴のデザイン力】■「日本/列島」は、大航海時代以来、インドやカタイ(中国)の彼方にある「極東の島国」として描き出され『魏志倭人伝』に記されたように東海の彼方の周縁とみなされた。しかし北半球で最大にして地球上最も多様な民族文化を培ってきた「ユーラシア」大陸を見渡せば、この極東の列島は「東の縁(ふち)」ではなく、「東の極み」を占める文明の「極」であることを発見させられる。■つまり日本/列島は、ユーラシア「世界」を東の極みから眺望するヴィスタを占め、その芸術文化は、およそ一万年前の縄文文化から、「開かれたユーロ=アジア性」を、芸術や宗教儀礼に表し営みをつづけてきた。 ■たとえばアイヌの人々の衣「アトゥシ」は、シベリア沿海州のナナイ族の人々の花嫁衣装にいまも生きる曲線文様を共有し、「フローラ(植物)界とファウナ(動物)界」を交流させた、北方ユーラシアに普遍的な「生命のしるし」のデザインとして、遠く西の極みの北方ヨーロッパ文明(たとえばケルト文明)の意匠にまで、通じている。■今回はこれまで個々別々に観察されてきたユーロ=アジア世界の民族・集団の芸術の間に動的に「分かち持たれた共有性」から見直してゆき、ヨーロッパの基層ケルトがいかに「ユーロ=アジア世界」とネットワークをもち「神話と造形のデザイン力」を培ってきたか、そのダイナミズムについてお話いたします。

講 師  多摩美術大学 教授/芸術人類学研究所 所長 鶴岡 真弓氏
日 時 2014年12月7日(日) 14:00~16:00 (13:30開場)
会 場 あいれふ 講堂〈10F〉 
福岡市中央区舞鶴2-5-1
☎092-751-7778
 参加費   一般1500円     /    会員無料
* 当日、会場で直接受付ます。
主 催 日本ケルト協会
後 援 福岡市、福岡市教育委員会、(公財)福岡市文化芸術振興財団

漢とローマ~倭とケルト

漢とローマ~倭とケルト

九州歴史資料館 館長 西谷  正 氏

今から2千年ほど前、ユーラシア大陸の東と西に、二つの大きな文化圏があった。東の文化圏とは漢帝国を中心としたものであり、そして、西の文化圏とはローマ帝国のそれであった。また、二つの文化圏の周辺には、それぞれ、異民族の文化圏が見られた。東の漢帝国の周辺文化圏の一つが、その当時、漢帝国から倭と呼ばれた現在の日本列島において認められる。
漢帝国は北方の草原地帯を舞台に強大な勢力を形成し、南方へ進出を計っていた匈奴を牽引するため、倭をその冊封体制下に組み入れようとした。一方、漢帝国とはシルク・ロードのオアシス・ルートで結ばれた西方に、ローマ帝国が位置した。ローマ帝国は、その版図拡大の過程で、現在のイングランドのケルトへと進出した。ここにおいて、西のローマ帝国とケルトの関係を、東の漢帝国と倭のそれとの比較から、二つの地域間に見られる共通性と相違点を見出したいと思う。
たとえば、ローマ帝国のファートに対して、ケルトはヒルフォートで対抗した。それに対して、漢帝国の場合は、群県治所の設置が見られたが、漢帝国の直接支配を受けなかった倭では、朝貢関係を結んだ。ただ、倭における防衛的な環濠集落はケルトのそれに共通点が見出せる。しかし、防衛対象は、ケルトの環濠集落がローマ帝国であるのに対して、倭のそれは倭内部の周辺諸国であった点は大きな違いである。

アイルランドの石の美術 拓本

アイルランドの石の美術 拓本

1994年12月に当会が発足して2014年は20周年を迎えます。特別記念行事として故大野忠男氏が1973年から1979年に亘ってアイルランドの遺跡から採拓された拓本を中心にした展覧会を開催致します。

展示されている拓本を、巨石の時代、ケルトの時代、初期キリスト教時代、ノルマン侵入時代、それ以降の時代~と歴史的に見ながら、ケルト文化、キリスト教文化、ゲルマン文化がどのように関係しながら現れているかを辿ります。

講 師  書家     齋藤 五十二 氏
日 時 2014年9月21日(日) 13:00~15:00
会 場 アクロス福岡 「アイルランドの石の美術 拓本展」 の会場で行います。
*詳しくは下記の〈特別企画〉の欄をご覧下さい
福岡市中央区天神1-1-1 アクロス福岡2F交流ギャラリー
主 催 日本ケルト協会
後 援 福岡市、福岡市教育委員会、(公財)福岡市文化芸術振興財団

定例会 書家 齋藤 五十二 氏

定例会

書家     齋藤 五十二 氏

1994年12月に当会が発足して2014年は20周年を迎えます。特別記念行事として故大野忠男氏が1973年から1979年に亘ってアイルランドの遺跡から採拓された拓本を中心にした展覧会を開催致します。

展示されている拓本を、巨石の時代、ケルトの時代、初期キリスト教時代、ノルマン侵入時代、それ以降の時代~と歴史的に見ながら、ケルト文化、キリスト教文化、ゲルマン文化がどのように関係しながら現れているかを辿ります。

ケルトの水脈~ブルターニュ(ブレイス)がケルトを意識するとき~

ケルトの水脈
~ブルターニュ(ブレイス)がケルトを意識するとき~

女子美術大学教授    原 聖 氏

 ブルターニュ(ブレイス)では、現在、「ケルト間交流祭り(フェスティバル・アンテールセルティック」というイヴェントが40万人もの観客を集めて開催され、「ケルト・サークル(セルクル・セルティック)」という伝統舞踏の愛好家団体は、200を超える支部をブルターニュ全域にもっている。ブルターニュにとって「ケルト」とは、アイデンティティの重要な部分であり観光資源ともなっているのである。
フランスにおける「ケルト」は、16世紀に登場し、当初は「ガリア(ゴール)と同義だった。反フランス的な民族主義の核として「ケルト」が意識されるようになるのは、19世紀半ば以降である。こうしたなかで、民俗学が対象とする、生活習慣や民話に含まれる、キリスト教に包摂されないような部分が「ケルト的」とみなされるようになるのである。
同時に、ケルト諸語の同族性をもとにしたケルト語圏の交流活動が始まる。
これが、はじめに紹介したイヴェントや団体にまでつながっているのである。
こうした「ケルト」について、具体的事例を通して解説する。

中性ヨーロッパの金属工芸の魅力

中性ヨーロッパの金属工芸の魅力

「ケルズの書」とともに「アイルランドの至宝」と称され、数多くの人々を魅了し続けて来た
「タラ・ブローチ」。1850年にアイルランドのタラで発見されたこの豪華なブローチは、かつて
アイルランドで花開いていた金属工芸の素晴らしさを今に伝えています。今回のセミナーでは、アイルランドや英国に残る初期キリスト教時代から中世後期までの金工品を中心に、ドイツやイタリアなどヨーロッパ諸国に残る様々な金工品にも目を向けつつ、普段あまりイメージされることのないヨーロッパ金属工芸の世界とその魅力について、紹介します。 また、私自身が日々の博物館活動のなかで、調査を続けている日本の様々な中世の金工品についても触れ、日本とヨーロッパの金属工芸の共通性や差異についても考えてみたいと思います。

【プロフィール】望月規史(モチヅキ ノリフミ)
立命館大学大学院博士課程修了(2009年)。奈良大学や多摩美術大学で非常勤講師を経て、現在九州国立博物館文化財課に勤務。
専門は金属工芸史。著書(共著):『松本清張と近代の巫女たち-「神々の乱心」にみる「御神鏡」の研究-』(北九州市立松本清張記
念館、平成24年3月)、『すぐわかるヨーロッパの装飾文様一美と象徴の世界を旅する-』(株式会社東京美術、平成25年1月)など。
参画した展覧会:「日越外交関係樹立40周年記念福岡県・ハノイ市友好提携5周年記念九州ベトナム友好教会設立5周年記念大ベトナム展」「竃門神社肇祀一三五〇年記念 山の神々一九州の霊峰と神祇信仰-」「国宝大神社展」(九州国立博物館)、
「vin h6a Nhat Ban/The Culture of Japan」(ハノイ国立歴史博物館)など。

講 師  九州国立博物館文化財課    望月規史氏
日 時 2014年6月29日(日) 14:00~16:00(13:3f0開場)
会 場 婦人会館  視聴覚室(8F)
福岡市中央区舞鶴2-5-1
℡092-712-2662
参加費   一般1500円     /    会員無料
* 当日、会場で直接受付ます。
主 催 日本ケルト協会
後 援 福岡市、福岡市教育委員会、(公財)福岡市文化芸術振興財団

定例会 九州国立博物館文化財課 望月規史氏

定例会

九州国立博物館文化財課    望月規史氏

 「ケルズの書」とともに「アイルランドの至宝」と称され、数多くの人々を魅了し続けて来た
「タラ・ブローチ」。1850年にアイルランドのタラで発見されたこの豪華なブローチは、かつて
アイルランドで花開いていた金属工芸の素晴らしさを今に伝えています。今回のセミナーでは、アイルランドや英国に残る初期キリスト教時代から中世後期までの金工品を中心に、ドイツやイタリアなどヨーロッパ諸国に残る様々な金工品にも目を向けつつ、普段あまりイメージされることのないヨーロッパ金属工芸の世界とその魅力について、紹介します。 また、私自身が日々の博物館活動のなかで、調査を続けている日本の様々な中世の金工品についても触れ、日本とヨーロッパの金属工芸の共通性や差異についても考えてみたいと思います。

【プロフィール】望月規史(モチヅキ ノリフミ)
立命館大学大学院博士課程修了(2009年)。奈良大学や多摩美術大学で非常勤講師を経て、現在九州国立博物館文化財課に勤務。
専門は金属工芸史。著書(共著):『松本清張と近代の巫女たち-「神々の乱心」にみる「御神鏡」の研究-』(北九州市立松本清張記
念館、平成24年3月)、『すぐわかるヨーロッパの装飾文様一美と象徴の世界を旅する-』(株式会社東京美術、平成25年1月)など。
参画した展覧会:「日越外交関係樹立40周年記念福岡県・ハノイ市友好提携5周年記念九州ベトナム友好教会設立5周年記念大ベトナム展」「竃門神社肇祀一三五〇年記念 山の神々一九州の霊峰と神祇信仰-」「国宝大神社展」(九州国立博物館)、
「vin h6a Nhat Ban/The Culture of Japan」(ハノイ国立歴史博物館)など。

定例会 広島大学名誉教授 藤本黎時氏

定例会

 広島大学名誉教授 藤本黎時氏

イェイツは、若い時から晩年まで、友人として、恋人として、親しい関係を持った女性が多くいた。詩人は、美貌と才能に恵まれていた彼女たちに報われることのない愛を捧げたために、詩人の心に忘れがたい面影を残し、運命の女性として詩の中に登場する。
その女性たちの中でも、生涯を通じてファム・ファタールとなった女性は、「23歳のとき、私のこの世での悩みが始まった」と述べているモード・ゴンである。さらに、もう一人あげるとすれば、オリヴィア・シェイクスピアであろう。
イェイツと二人の女性との親交の詳細については、互いに交わした書簡や伝記などから明らかになっているが、詩の中に登場する二人の女性は、意中の女性を称える恋愛詩の主人公として不朽の姿を詩の中に残しているわけではない。
イェイツの詩の特色は、詩人としての成熟とともに、華麗な文飾を廃し、言語表現を切り詰め、堅牢、強靭で、時にはアイロニカルで知的な文体へと発展していく。初期の恋愛詩は、その背後に自伝的要素が隠されているが、ロマンティックで、夢幻的なケルトの薄明の世界の中での悲哀が歌われている。
時間の濾過作用とともに、個人の秘事の痕跡をできるだけ作品の表面から払拭したいという意図も働いていたことは否定できないが、詩人としての成熟とともに、恋愛詩の対象が詩人個人のいわば神話的世界の中の登場人物の域にまで昇華し、変容されているような印象を受けることもある。
いくつかの詩作品を通して、イェイツの運命の女性が詩作品の中でどのように歌われているかを検証し、あわせて詩の技法のオーガニックな発展を解説したい。

《プロフィール》 藤本黎時(ふじもと れいじ)
1932年、広島県呉市生まれ。広島大学文学部英語英文学専攻卒、大学院文学研究科博士課程修了。広島大学名誉教授、広島市立大学名誉教授、広島女学院常任理事、など
所属学会: 国際アイルランド文学研究協会会員、同日本支部会員、日本イェイツ協会会員、日本アイルランド協会会員、広島アイルランド交流会名誉会長、広島日英協会 理事、など
主要著訳書: 『ヨーロッパ的人間』(共著、勁草書房)、『イェイツーアングロ・アイリッシュのディレンマ』(渓水社)、『アイルランドとスコットランドの昔話』(小峰書店)、『ラオスの民話』(大日本絵画)など。