イェイツと柳田國男

イェイツと柳田國男

詩人     吉増 剛造氏

『ケルトの薄明』を著しましたW・B・イエイツ(11865年~1939年)の生涯と『遠野物語』の柳田國男さん(1875年~1962年)の一生が、ほぼかさなっていて、おなじように、妖精の邦への深い関心をもつ時代をおなじくしつつ、どうやら相似た魂の、・・・「詩人」と言うよりも「想像力のヒト」らしいいと気付きましたのは、『遠野物語』(明治43年、1910年6月刊)に先立つ『石神問答』(1910年5月刊)の次のくだりを目にしたときのことでした。
『久しぶりの御書面なつかしく拝見  殊に数々の御話につけて更に又六角牛草地峰の山の姿を想ひ浮べ候  ザシキワラシに似通ひたる欧羅巴の神々、調べ候はぼ限なき興味可有之候へども  小生は今以て其余暇無之候  先年YeatsがCeltic Twilightを一読せしこと有之候  愛蘭のフェアリィズにはザシキワラシに似たる者もありしかと存じ居候  遠野物語は早く清書して此夏迄には公にし度願に候へども 何分目下は石神のこと中途にて打棄てがたく・・・・』 (文中、太字は引用者)
書面の宛先は、『遠野物語』の語り部であった、佐々木喜善(鏡石)氏、・・・
柳田さんが尋ねられたのは、トーノにいる、ウスツキツコやカッパに似た存在、果たして欧羅巴にもいるのでしょうかという質問。どうでしょう、傍点のところから(「イエイツ研究」)に引用した時から十数年)はじめてここに傍点を置いてみて、柳田さんのこころ躍り、昂ぶりが読みとれたのだと思う。謎のようにいわれて来た『遠野物語』序言の「此書を外國に在る人々に呈す」は、このこころ躍りから出たものといって、ほぼ間違いはない。
さて、福岡での日本ケルト協会さんから奇跡のようなお誘い・・・『遠野物語』に先立つこと二年、三十三才のときの少佐官僚柳田國男の九州旅行の大切さを、残されたテープのお声を通して、この機会にみなさまに届けてみたい。イエイツは、声もそうですが小生のYeats Visionという14,5分の短編のお披露目も。

中央ヨーロッパ・ケルトの古代遺跡を訪ねて

中央ヨーロッパ・ケルトの古代遺跡を訪ねて

2013年4月~12月 イタリア・ドイツ ・スペイン・他
2014年1月~3月 アイルランド・ イギリス・ スッコトランド

西南学院大学教授  勢一 智子氏

当会では中央ヨーロッパのケルト遺跡を訪ねる研修の旅を予定しています。
その事前学習を兼ねて、ゲストの方に現地の様子をお話しいただき、多角的な視点で考えて行く「トラベルスタディー」を行なっています。
4月27日(土)は西南学院大学教授 勢一 智子氏にドイツ留学中に体験された各国の様子をお話いただきます。
ドイツ・スイス・オーストラリアの三カ国が国境を接するボーデン湖。この湖は3つの国を色々な形でつないでいます。いずれの国もドイツ語が話されており、似ているところも多いのですが、それぞれ大変個性的です。3カ国の個性が融合している国境地域について、日常の暮らしを通じて地域の魅力をご紹介します。

普及講座& アイリッシュダンスと音楽の交流会2013

普及講座&アイリッシュダンスと音楽の交流会2013

日本ケルト教会アイリッシュダンス講師 青木トモエ 氏

当会では1996年から折に触れてアイリッシュダンスの講座を設けてきました。
2013年もアイリッシュダンスをより多<の方々に親しんでいただくために普及講座を継続して行います。当会独自の講師によって、全く初めての経験がない方でも判りやすく、基礎ステップからダンス曲を踊れるように指導していきます。対象は子供~大人まで、年齢制限はありません。
最後には発表の場を設けます。

CARA第20号 2013年3月

会報誌cara第20号
会報誌cara第20号

■ケルトの魅力
~アーサ-・コナン・ドイルを中心に~
井村君江

■Seamus Heaneyの詩の世界
江崎義彦

■中央ヨーロッパの『ケルト』を探る
武部好伸

■アイルランドの食文化~伝統食から
モダンアイリッシュまで
松井ゆみこ

■北東北・三内丸山遺跡と遮光器土偶を
訪ねてレポート
山本啓湖

■会員投稿
岩瀬ひさみ
奈加靖子

■アイルランド通信
大倉純子
藤田需子


会報誌CARAバックナンバーご紹介

※購入をご希望の方は事務局にお問合せ下さい

トリスタンとイゾルデ (Tristan and Lseult)

トリスタンとイゾルデ
(Tristan and Lseult)

帝京大学教授 日本ケルト協会会員 木村俊幸氏

毎月第1金曜日、夕方6時から8時まで、主にアイルランドの作家を中心に原書による輪読会を行なっています。これまでイェイツやシングやジョイスなど、アイルランドを代表する文学者の作品を読んできました。今回は少し趣向を変えて、トリスタンとイゾルデの愛と死の物語です。
この物語は、アイルランド、ウェールズ、コンウォール地方を含むケルト文化圏に伝わる古い伝承にその起源をもち、アーサー王物語の中でもひときわ精彩を放つ一挿話として愛好されたきました。我が国でもリヒャルト・ワーグナーの同名の歌劇によってよく広く知られています。
輪読会の進め方は、前の月の輪読会でそれぞれテキストの担当部分(1ページから1ページ半)を決めておいて、翌月の輪読会で担当者が訳読を行い、その後、講師を中心に全員で難解な語句の意味や解釈の難しい箇所などをめぐってディスカッションするというものです。文学や語学に関心のある方は奮ってご参加ください。途中参加もOKです。
テキストはイギリスの歴史小説家ローズマリー・サトクリフによる再話、Tristan and Lseultです。

「水上往還」 ~アイルランドにおける航海譚と異界の風景~

「水上往還」
~アイルランドにおける航海譚と異界の風景~

中央大学教授  松村賢一 氏

アイルランドに残存する数多くの神話や伝統は古代・中世の物語として今に伝えられていますが、その源はストーリーテリングとよばれる《語り》でした。ストーリーテリングは伝承の過程で変容しながらも、多くが12世紀のアイルランド修道院文化の黄金期を経て文字に写されていきました。中でも異色な物語群に中世の航海譚があります。『ブランの航海』は最も古い航海の物語とされ、日本古代の常世の国を彷彿とさせる異界の風景が存分に写し出されています。妖精の誘いをうけ、潮路はるかな「女人の国」を訪れたブランの一行がアイルランドの岸辺に還って来た時には、幾百年が過ぎていました。この話はどのような心性から生まれたのでしょうか。万葉集や丹後風土記逸文などに遡る神仙譚の浦島子に似ているところがあります。
このほかにラテン語による『聖ブレダンの航海』と酷似した『マールドゥーンの航海』、アイオーナ島から二人の修道士が海上巡礼する『スネーフサとリーラの息子の航海』、天国と地獄をモチーフにした『コラの末裔三兄弟の航海』などがあります。とりわけ『コラの末裔三兄弟の航海』はキリスト教の贖罪巡礼をめぐる航海譚ですが、贖罪ではなく悟りとして観音菩薩のもとに生まれ変わることを願った日本の僧たちの補陀落渡海についても触れたいと思います。

CARA第19号 2012年3月

会報誌cara第19号
会報誌cara第19号

■アイルランドと日本の出合い
~イェイツ『鷹の井戸』をめぐって
高橋睦郎

■イェイツの劇作品入門
河野賢司

■イェイツの初期の恋愛詩について
木村俊幸

■イェイツとアイルランド
-神話と紛争に生きた詩人
木原謙一
■亡霊のアイルランド
ジェームズ・ジョイスを中心に
田多良俊樹

■イェイツと女性たち   -過去、そして現在
大野光子

■アイリッシュハープの歴史~
18世紀の復興運動と愛国主義
寺本圭祐
■佐渡が島と火焔土器を訪ねる旅
山本啓湖

■会員投稿
私とケルトの出合い
森 玉枝

■アイルランド通信
「ドニゴール/デリー通信」
大倉純子
「リトル・ミュージアム・ダブリン」
織田村恭子


会報誌CARAバックナンバーご紹介

※購入をご希望の方は事務局にお問合せ下さい

アイリッシュダンス公開講座&自主練習会2011

アイリッシュダンス公開講座&自主練習会2011

アイリッシュダンス公開講座4回シリーズ
 トラディッショナルコース
(6月から4回シリーズ)

今回は参加形態やダンス構造にもある社交性に重きを置き、楽しさを広く知っていただきたいと思っております。
もちろん控えめで端正な見た目の美しさも徐々に求められればさらに素晴らしく、皆さんのやる気も高まることでしょう。
4回の講座で出来ることは限られていますが、セットダンス、ケーリーダンスをメインに、簡単な2ハンドダンス、そしてソロとしてはシャンノースダンスに挑戦してみましょう。トラディショナルなグループダンスは共通言語のようなものですから、いくつかマスターすれば、自分たちの楽しみとして踊る喜びを味わえますし、アイルランド本国はもちろん、世界中から集まるアイルランド好きな人と楽しく交流も出来るでしょう。
理解を深めるためのバックグラウンドとして、興味深いお話や貴重な映像もご紹介します。
1、2回のクラスでセットダンスを1つ、トラディショナルステップダンスのステップを1、2、2ハンドダンスを1,2というペースで様子を見ながらゆっくりと進めます。課題をこなすよりも、皆さんが自立して助け合いながら習得して行かれるよう指導させていただきます。(講師:宮澤紅子)

講 師 トラディッショナルコース 宮澤紅子 氏
第2回日時 11月13日(日)
 セットダンスクラス 15:00~16:50
 トラディッショナルステップダンスクラス 17:00~19:00
場 所 福岡市立 中央体育館
福岡市中央区赤坂2-5-8 TEL092-741-0301
参加費
各クラス 一般4500円 会員・学生4000円
定員 20名(最低催行人員15名)
服装など 服装は動きやすいもの。
靴はヒールに多少の高さがあり、摩擦の大きすぎないもの。
セットダンスシューズ、チップのないタップシューズのような形・造りが適している
バレーシューズよりはスニーカー、スニーカーよりは皮革製ヒール付き靴が適しています。
特に靴については初回に講師に相談が可能です。
次回について 10月の開催日時については
決まり次第お知らせいたします。
主催 日本ケルト協会  担当/山本

毎月2回 日曜日(随時)

自主練習
場 所 中央体育館など
開催は 会場の都合により変更になる場合もあります。
その場合は早めにお知らせいたします。
初心者クラスは 全く初めての経験がない方でも判りやすく基礎から指導していきます。
経験者クラスは 今まで当会のダンス講座を受けられた方やダンスの経験がある方が対象です。
詳細は 直接担当者へ
森下:harry_morishita@live.jp

イェイツと女性たち—-過去、そして現在

イェイツと女性たち—-過去、そして現在

愛知淑徳大学名誉教授 大野光子 氏

 W.B.イェイツの生涯と作品については、4月の「イェイツ-その生涯と業績」展の期間に、4人の講師の方たちがそれぞれのご専門の立場から語られましたので、私はイェイツと女性たちとの文学的・人間的かかわり方に焦点をあてて、お話したいと思います。
アイルランドの激動の時代を生きたアングロ・アイリッシュ詩人イェイツの周囲には、常に時代の先端を行く知的で活動的な女性たちがいました。独立運動の中で出会った運命の女性モード・ゴーンもその一人で、イェイツの詩神(ミューズ)として多くの作品中に姿を留めることで知られています。しかし、今回は特に、生涯イェイツを支え抜いた妻ジョージにも光をあててみます。彼女は当初、若き英国人妻として、作品のインスピレーションとなり、後年はイェイツの全著作の管理保護者としてイェイツ研究の発展に尽くしました。2002年に刊行されたアンサドルマイヤ-著『イェイツ夫人伝』に続き、今春同氏編注による『イェイツ夫婦書簡集』がついに出版され、偉大な詩人の妻の真の姿と貢献が明らかにされています。
「過去」の女性たちと、先駆詩人たるイェイツに触発された作品を書いている「現在」の女性作家・詩人たちにも視線を向けてお話しますが、当然のことながら、19世紀末から21世紀に到る、アイルランドの社会状況にも触れることになと思います。

日 時 10月2日(日) 14:00~16:00(13:30開場)
場 所 婦人会館 視聴覚室   (あいれふ) 8F
福岡市中央区舞鶴2-5-1
℡092-712-2662
参加費 一般1500円  会員無料
当日開場で直接受け付けます。
主催 日本ケルト協会 事務局 福岡市博多区麦野1-28-44
℡092-574-0331
http://www.celtic.or.jp   keiko-y@celtic.or.jp
お問い合わせは 担当 稲永へどうぞ
TEL092-812-0939
後援 福岡市・福岡市教育委員会